免疫系の老化と病気
加齢と共に免疫細胞も衰える
生体のストレスとともに、加齢も免疫機能を低下させる大きな原因になります。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19 )でも、高齢者の重症率は若年層よりも高くなっています。
高齢者には、基礎疾患をもつ人が多いという事がありますが、加齢に伴う免疫細胞の機能低下も大いに関与しているとされています。
免疫を担うすべての細胞が、骨髄中の造血幹細胞からつくりだされています。
加齢にともない、造血幹細胞自身の増殖や分化の能力が衰えるため、必然的に免疫細胞の数や質も低下すると考えられています。
その度合いには、免疫細胞によってばらつきがあります。
獲得免疫の衰えは、胸腺萎縮が関連?
マクロファージや樹状細胞などの食細胞は高齢になっても数そのものは減らないと考えられています。
機能にも大幅な低下は見られないが、病原体を飲み込んで分解する食作用や、病原体成分を提示して獲得免疫発動への橋渡しをする作用は衰えていくとされています。
一方で、獲得免疫は加齢による衰えが大きい。主な理由は、胸腺が加齢と共に著しく小さくなる点にあるとされています。胸腺が萎縮すると、胸腺内で行われる、T細胞の選抜や成熟の機能が低下し、できてくるT細胞の質が低下する。
このようなT細胞は、正常な獲得免疫を発動できないだけではなく、強い炎症反応を誘発する、がんの増殖や転移を見逃すといった負の作用を及ぼす。
胸腺の萎縮は、20代後半から始まり、その大きさは40歳で約50%、70歳で10%以下になるとされる。
T細胞の機能低下は、B細胞に影響し抗体の産生量や機能の低下も引き起こす事になる。
高齢者に、感染症にかかりやすいや治りにくい、重症化しやすい、といった傾向がみられるのは、こうした理由によるものだ。
感染症以外に、摂取したワクチンの効果が弱いや自己免疫疾患やガンを発症しやすいなどリスクが高くなります。
加齢に伴う免疫の変化
胸腺が萎縮し、ナイーブT細胞の減少、自己反応性T細胞の増加、ヘルパーT細胞の機能低下、外来抗原への抗体産生低下、PD-1陽性Tリンパ球増加、樹状細胞の抗原取り込み能力低下し、獲得免疫の低下に繋がる。
免疫が落ちると自己免疫疾患のリスクが高くなり、炎症性サイトカインの産生増加に繋がり、慢性炎症のリスク増加に繋がる。
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