サルコペニア、ロコモとフレイルについて
サルコペニアやロコモについて
人の生涯にわたって健康で自立した生活を営む為には、日常動作(ADL)の基盤となる筋力を維持し、身体活動量や体力レベルを保つ事が重要です。
しかし、筋力量や筋力は加齢に伴い低下する事が知られています。
近年ではその病態である加齢性筋肉脆弱症(サルコペニア)や移動機能に着目した運動器症候群(ロコティブシンドローム:ロコモ)への注目が高まっています。
サルコペニアやロコモが進行すると、運動器の疾患や機能低下が原因となり、歩行機能やバランス機能などが低下します。
サルコペニアとは?
サルコペニアは、Irwin Rosenbergによって1989年に提唱された概念であり、ギリシャ語で筋肉を表す(sarx)と喪失を表すpeniaと組み合わせた造語である。
サルコペニアの概念が提唱された当初は、加齢に伴う骨格筋量の減少を指すものであったが、現在では、量的減少に加えて筋力の低下や身体機能の低下も含める概念となっています。
2016年の10月には、国際疾患分類(ICD-10)のコードを取得し、2018年6月に公表された国際疾患分類の第11回改正版(ICD-11)にも登録され、日本でも傷病名として登録されています。
独立した疾患として位置付けられるようになりました。
2018年にサルコペニアは、転倒、骨折、身体機能低下、死亡などの負のアウトカムの危険が高まりました。
進行性かつ全身性の骨格筋疾患であると定義されました。
サルコペニアの評価とは?
日本におけるサルコペニアの評価には、Asian Working Group forsarocopeniaが2019年に改正した診断基準では、筋力または身体機能の低下に加え、骨格筋量減少が認められるケースについてサルコペニアと確認された。
サルコペニアの有病率
65歳以上の有病率は、7.5%(男性8.2%、女性6.8%)2014年は、8.2% 2017年では、8.6%と少しずつ上昇している。
65歳以上におけるサルコペニア有病者数は、男性で132万人、女性で約140万人であるとの推計が報告されています。
サルコペニアのメカニズムとは?
筋力の低下は、骨格筋量の減少と関係しています。
この骨格筋量の減少は、筋繊維の数が減少することと、筋繊維自体が萎縮する事が原因とされています。
筋繊維は、収縮特性から遅筋繊維と速筋繊維に分類されます。
サルコペニアの場合、速筋繊維に選択的な萎縮が認められる特徴があります。
高齢期および若年期男性の外側広筋を対象に、各筋繊維タイプの単一筋繊維よりタンパク質を抽出し、酸化エネルギー供給能は両筋繊維タイプで加齢に伴い同様に低下するのに対し、解糖系エネルギー供給能は、遅筋繊維で加齢に伴い上昇し、速筋繊維では低下する事が明らかになりました。
エネルギー代謝面においても、加齢に伴う筋繊維タイプ毎の適応に差異がある事が示唆されました。
骨格筋は、肉離れや打撲などの外力によって怪我をした場合や、骨折等による固定処置や病気等による長期がしょうによって顕著に萎縮した場合であっても、その後筋の再生が認められ、適切なリハビリテーションやトレーニングによって回復する事が可能です。
骨格筋は本来、再生能に富んだ組織であるといえる。
しかし、加齢に伴い、筋損傷後の再生が十分に働かない事や、萎縮した骨格筋は元に戻りづらいという現象が認められる。
こうした加齢に伴う再生能の喪失は、サルコペニアの原因の一つと考えられています。
実際に大腿部における筋繊維数が若年期と比較して、高齢では半分近くまで減少する事が報告されています。
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全ては皆様の健康の為に。