身体活動と生活習慣病
身体活動と寿命との関係
世界保健機関(WHO)は、世界的な死因リスクのトップ5は、高血圧、喫煙、高血糖、身体活動不足、過体重、あるいは肥満であると発表しています。
身体活動不足は、世界における死因の4位であるとしています。
身体活動や身体活動の客観的な指標である心肺体力と寿命の関係を調査した研究はこれまで数多く報告されています。これらの中から主に日本人を対象とした心肺体力に関する研究を紹介します。
本稿で紹介する研究は、観察研究において最もエビデンスレベルが高いとされるコホート研究です。
コホート研究とは、研究参加者を追跡して対象とする疾患の発生率や死亡率を調査するものである。
心肺体力と寿命
日本人男性労働者9986人を対象に実施されたコホート研究では、追跡対象者を心肺体力で5群に分類したあと、14年間追跡し、追跡期間中の総死亡者数を観察した。
心肺体力は、身体活動量の客観的指標であり、質問紙で調査した身体活動量よりも正確に追跡対象者の身体活動状況を把握する事が可能である。
各郡の交絡因子の違いを調整した上で死亡率を比較している。
その結果、心肺体力と死亡率の間に負の量反応関係があることが示され、心肺体力が最も低い群と比較して、最も高い群では61%低い相対危険度を示していた。
身体活動と生活習慣病の関係
定期的に身体活動を実施する事によって、心肺機能の改善がもたらされ、冠動脈疾患危険因子の低下や疾患罹患率、あるいは死亡率の減少と言った効果が得られる事が報告されています。
2000年のアメリカ医学会は、身体活動と健康の関係調査したコホート研究をレビューし、身体活動の実施がさまざまな生活習慣病に対して予防的に働くと報告されています。
厚生労働省では、健康づくりの為の身体活動基準2013策定時に実施したコホート研究を対象とした系統的レビューの結果、身体活動によって、2型糖尿病、循環器疾患
ガン、ロコモ、うつ、認知症などに罹患するリスクを下げる事ができると報告しています。
さらに、2020年にWHOが発表した身体活動、座位行動のガイドラインでは、身体活動の実施によって心臓病、2型糖尿病、がんが予防され、うつや不安の症状が軽減され、思考力、学習力、総合的な幸福感を高められると報告されています。
そして、身体活動によって妊婦および産後の女性、慢性疾患や障害のある人を含むすべての人に健康効果が得られています。
心肺体力と生活習慣病の関係を調査した研究についても、これまで数多く報告されています。
これらの中から日本人を対象としたコホート研究を代表的な疾患を次回のブログで紹介します。
最後までブログを読んで頂き有難う御座いました。
全ては皆様の健康の為に。