ヘム鉄とヘモグロビンについて
鉄の分布とヘモグロビン
成人の鉄の総量は約3gといわれています。その多くをしめているのが赤血球のヘモグロビンの構成成分として存在しています。
残りは、筋肉中のミオグロビンとして酸素の運搬に関与しています。
長期の鉄摂取不足や成長による鉄需要の増加、消化管からの出血による鉄不足は、鉄欠乏性貧血を引き起こします。
鉄欠乏性貧血は、発展途上国ではもっとも多い栄養欠乏症です。
一般成人の鉄推奨量は、女性で6.5~11mg、男性では、7.5mgとされています。
日常で運動をおこなっている方は、発汗による鉄の損失や、運動による血球破壊など鉄を体外に排出する可能性が高い為、一般成人よりはアスリートが摂取量が多いと考えられます。
また、男性に比べて女性は生理周期が25日から38日の間隔でくる方が多いので鉄不足になりがちです。
それは、体外にヘモグロビンが出ていってしまうからだと考えられます。
ギリシャ語でヘモ=血、グロビン=タンパク質が抜けてしまいます。
食事に含まれる鉄の大部分は、十二指腸と空腸上部で吸収されると言われています。
鉄は、ヘム鉄と非ヘム鉄にわけられ、ヘム鉄は、魚肉の赤身や肉類に多く含まれています。
ヘム鉄は、非ヘム鉄より吸収率が高いと言われています。
鉄の吸収率を高める為には、ビタミンCがあります。
カフェインや、タンニン、ポリフェノールは、鉄の吸収を抑える働きがあります。
鉄代謝に効果があるのは、肝臓から分泌されるぺプシジンといわれています。
小腸での鉄吸収を調節する事で全身の鉄貯蔵量を調節しています。
鉄吸収を促進する為には、ペプシジンの摂取も必要です。
運動量が多い人は、鉄が不足している可能性が高いので意識して摂取する必要性があります。
ヘム鉄とスポーツ貧血とは?
希釈性貧血は、トレーニングを行う事によって血漿量が増大し、相対的にヘモグロビン濃度が低下する事を指します。
トレーニングによる血漿量の増加は、血液の粘性抵抗を下げる事によって酸素運搬能を高める働きがあると考えられています。
溶結性貧血は、赤血球が物理的な刺激によって破壊される事で起きる溶血が原因と考えられています。
鉄欠乏性貧血は、アスリートの中で最も頻度の高い貧血といわれています。
鉄欠乏性貧血が生じた場合、ヘモグロビンの低下よる酸素運搬能が低下するだけではなく、タンパク質が減少し、エネルギー産生にも影響を及ぼす事で運動能力を著しく低下させてしまう。
糖質摂取量が少ない状態で運動をしてしまうとペプシジン濃度が上昇し、鉄吸収を妨げる可能性がある。
なので、過度の糖質制限は低血糖のリスクもありますが、鉄吸収の観点からも注意が必要である。
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